戦後急速な高度経済成長にともない、横浜市とその一帯は都市化の波にのまれ、住宅地の開発や人口の過密化に拍車がかかりました。その結果、人と人との関係や距離感がかえって希薄となり、これまでに培われた地域社会のつながりが成り立たず、ストレスや軋轢が生じやすい社会となってしまいました。また、子どもたちがのびのびと遊び、大人が時には心を癒やす自然環境も失われつつあります。
その中で、ここ横浜の北部・緑区新治地区には貴重な里山空間が残されています。地元農家の方々が連綿と耕し、手入れされてきた景観と、横浜市内ではほかに類を見ないほど生き物の豊かさにあふれている自然は、私たち市民にとっても宝です。
この里山空間と風土性を将来にわたり保全し活かすことが、人と人・地域・自然、それぞれのつながりの再構築に寄与すると考えています。
そのため私たちは「にいはる里山交流センター(旧奥津邸)」を拠点とした新治里山公園の理念を「新治の特性を生かし、持続可能な社会のさきがけとなる里山公園」と定め、里山景観と生態系の保全、里山文化の継承と創造を基本に、新しいかたちの公園づくりを担います。
「にいはる里山交流センター(旧奥津邸)」では、新治地区や里山情報の提供のほか、「暮らし」をコンセプトにして「わ」“人と人との和”“地域の輪”“自然の環”を醸成する仕掛けをつくり、横浜市民をはじめとした多くの利用者に「来てよかった」と感じていただく空間と時間を提供します。私たちはこれらの機能を充実させるために特定非営利活動法人新治里山「わ」を広げる会を設立しました。
○平成15年8月~16年3月
■旧奥津邸活用検討会議
全市的な公募による参加者と地域の既存関係団体(自治会、小学校、梅田川水辺の楽校協議会、新治市民の森愛護会、新治谷戸田を守る会、一本橋メダカひろば水辺愛護会)の代表者との合計20名により発足。会議を毎月開催し、「旧奥津邸」を活用する仕組みやルール、運営を担う組織づくりについての話合いを行いました。
○平成16年4月~19年7月
■旧奥津邸活用実行委員会
「頭で検討するだけではなく、手足を動かしアイディアを自分たちの力で実行していこう」という思いをこめ、「旧奥津邸活用検討会議」より発展的に移行しました。この会議の開催は毎月行い、講座やイベントを数多く実施してきたほか、公園計画や設計などへの提案を行ってきました。
○平成19年8月
■新治里山「わ」を広げる会
新治里山公園の指定管理を目指して自立した組織にするため、「旧奥津邸活用実行委員会」を母体に設立しました。
〇平成20年12月
■特定非営利活動法人 新治里山「わ」を広げる会
平成21年度からの新治里山公園の指定管理を目指すため、NPO法人の認証を受けました。